リスティング広告で競合に入札される問題と解決法
ご自身のサービス名でGoogle検索してみたことはありますか?
もし試したことがないなら、今すぐシークレットモードで検索してみてください。ご自身のブランド名の検索結果に、競合他社の広告が表示されているかもしれません。
これは「ブランドキーワードへの競合入札」と呼ばれる問題です。そして、この問題を放置するコストは、多くの方が想像しているよりもはるかに大きいものです。
指名検索ユーザーの価値を考える
本題に入る前に、ひとつ考えてみてください。ご自身のブランド名で検索してくれるユーザーは、どのようなユーザーでしょうか。
この人たちは、すでにご自身のサービスを知っています。名前を覚えていて、わざわざ検索窓に入力してくれた人たちです。比較検討はほぼ終わっていて、「申し込もう」「詳しく見てみよう」と思ってアクセスしようとしている。いわば、ご自身のビジネスにとって最も価値の高いユーザーです。
実際、指名検索のコンバージョン率は一般キーワードの5〜10倍にのぼることも珍しくありません。仮に一般キーワードのCVRが1%だとすれば、指名検索は5〜10%です。
この最も価値の高いユーザーの検索結果に、競合の広告が割り込んでくる。それがブランドキーワードへの競合入札という問題の本質です。
なぜ競合はご自身のブランド名に入札するのか
「なぜわざわざ他社の名前で広告を出すのか」。不思議に思われるかもしれません。しかし、競合の立場から考えると、その経済合理性は明快です。
競合から見た「おいしい」理由
ご自身のブランド名で検索しているユーザーは、同じ業界のサービスに関心がある人です。競合にとって、このユーザー層はターゲティングの精度が極めて高い見込み客です。
通常、一般的な業界キーワードでは多くの広告主が入札しており、クリック単価も高くなります。しかし、特定のブランド名キーワードは入札している企業が少ないため、比較的安いクリック単価で広告を出せます。しかもクリックしてくれるユーザーは、すでに購買意欲が高い状態にあります。
つまり競合にとっては、「安いコストで、質の高い見込み客を獲得できる」という非常に効率的な施策なのです。御社のブランド構築に投資してきた成果を、競合が安価に「横取り」しているとも言えます。
意図しない表示のケース
すべてが意図的とは限りません。キーワードの部分一致設定によって、意図せずブランド名の検索に広告が表示されてしまうケースもあります。たとえば「リスティング広告 ツール」を部分一致で設定していると、特定のツール名の検索にも広告が表示される可能性があります。
また、アフィリエイターが成果報酬を得るためにブランドキーワードで出稿するケースもあります。アフィリエイト規約で禁止していても、実際には見落とされていることが多いのが実情です。
放置した場合の具体的な損失
では、ブランドキーワードへの競合入札を放置すると、具体的にどれほどの損失が発生するのでしょうか。数字で考えてみましょう。
計算例:月間5,000回の指名検索があるケース
仮にご自身のブランド名の月間検索数が5,000回だとします。競合の広告が表示されていない場合、オーガニック検索結果からのクリック率は概ね40〜60%と言われています。ここでは50%として計算します。
競合不在の場合の月間クリック数は5,000 x 50% = 2,500クリック。コンバージョン率5%とすると、月間125件のコンバージョンが見込めます。
ここに競合の広告が入ると何が起きるでしょうか。検索結果の最上部に競合の広告が表示されると、クリックの10〜20%程度がそちらに流れます。仮に15%が競合に流出すると考えると、月間375クリックの損失です。コンバージョン率5%で計算すると、約19件のコンバージョン機会を毎月失っていることになります。
この19件を一般キーワードで獲得しようとすると、CPAが5倍になるとして、1件10,000円が50,000円に。月間で約95万円の「見えないコスト」が発生している計算です。
もちろんこれは仮定の数字ですが、指名検索の価値を定量化すると、放置のコストがいかに大きいかが見えてきます。
CPC高騰のインパクト
ご自身もブランドキーワードで広告を出稿している場合、競合の参入によってオークションの競争が激化し、クリック単価が上昇します。
通常、競合不在のブランドキーワードはクリック単価10〜50円程度で運用できます。ここに競合が入ると、数百円に跳ね上がることもあります。月間5,000クリックのキーワードで、単価が50円から200円に上がっただけでも、月額コストは25万円から100万円へ。差額の75万円は、本来不要だった「防御コスト」です。
ブランドイメージへの影響
数字に表れにくいですが、ブランドイメージへの影響も無視できません。「ブランドA より安い」「ブランドA の代替」といった広告文が表示されると、ユーザーに不要な比較検討を促してしまいます。すでに決めかけていたユーザーの気持ちを揺さぶられるのは、大きな機会損失です。
発見方法:見つけなければ始まらない
対策の第一歩は発見です。問題を見つけなければ、何も始まりません。
手動検索の限界を知る
もっとも基本的な方法は、ご自身のブランド名でシークレットモード検索を行うことです。確認の際は、モバイルとPCの両方で、時間帯を変えて複数回チェックしてください。広告のスケジュール設定や地域ターゲティングにより、特定の条件でのみ表示されるケースがあるためです。
ただし、手動チェックには明らかな限界があります。広告は24時間配信されており、すべての時間帯、デバイス、地域の組み合わせを人力でカバーすることは不可能です。たまたまチェックした時間帯に競合が配信を止めていた、ということもありえます。
オークション分析の活用と限界
ご自身がブランドキーワードで広告を出稿している場合、Google広告のオークション分析レポートで競合の存在を確認できます。しかし、ご自身がブランドキーワードに入札していなければ、このレポートは使えません。
自動監視が問題を解く
手動チェックの限界を解決するのが、自動監視ツールです。BQuireは指定したキーワードの検索結果を定期的にクロールし、競合の広告をスクリーンショット付きで自動検知します。時間帯やデバイスに左右されず、網羅的な監視が可能です。
発見してからの対応フロー
競合出稿を発見したら、次は排除に向けたアクションです。対応は段階的に進めます。
第1段階:防御入札で流出を止める
まず応急処置として、ご自身のブランドキーワードに対して自社でも広告を出稿します。ブランドキーワードは品質スコアが高くなりやすいため、低い入札額でも上位表示が可能です。サイトリンク拡張機能を追加して広告の占有面積を広げると、競合の広告が目立ちにくくなります。
ただし、防御入札は本来不要な広告費です。あくまで応急処置であり、根本解決ではありません。
第2段階:出稿元への排除依頼
並行して、出稿元に直接連絡し、広告の停止を依頼します。まず証拠を確保し、次に出稿元の連絡先を特定し、事実に基づいた冷静な文面で依頼メールを送ります。
交渉のコツは、最初から攻撃的にならないことです。「事実確認のお願い」という姿勢で臨みましょう。部分一致の設定ミスで意図せず表示されているケースもあり、その場合は指摘するだけで速やかに対応してもらえることが多いです。
期限内に回答がなければ再連絡し、2回目以降はGoogleへの申し立てや法的措置の検討に言及することも効果的です。
第3段階:Googleへの商標申し立て
広告テキストにご自身の商標が使われている場合、Googleの商標申し立てフォームから正式に申し立てを行えます。認容されれば、広告テキスト内の商標使用が制限されます。審査には通常2〜4週間かかります。
ただし、キーワード入札そのものはGoogleのポリシーで制限されていないため、この申し立てで制限できるのは広告テキスト内の使用のみです。根本的な解決には、第2段階の直接交渉が不可欠です。
アフィリエイターの場合
アフィリエイターによる出稿が原因の場合は、プログラムの規約を見直しましょう。ブランドキーワードでの広告出稿を明確に禁止し、違反時のペナルティを明記します。規約を整備するだけでなく、実際に遵守されているかの監視も重要です。
一度の対応で終わりではない
競合入札の問題で見落とされがちなのは、「一度排除して終わり」ではないということです。同じ企業が再び出稿を始めることもあれば、新たな競合が参入してくることもあります。
ブランドを守るためには、継続的なモニタリング体制を構築し、問題を早期に発見できる仕組みが必要です。また、対応プロセスを標準化しておくことで、担当者が変わっても同じ品質の対応ができるようになります。
まとめ
ブランドキーワードへの競合入札は、指名検索という最も価値の高いトラフィックを脅かす問題です。放置すれば、トラフィックの流出、CPCの高騰、ブランドイメージの毀損という多面的な損失が発生します。
対応の基本は、防御入札で流出を止め、出稿元への直接交渉で根本解決を図り、必要に応じてGoogleへの商標申し立てを行うという3段階のアプローチです。そして、一度の対応で終わりにせず、継続的なモニタリング体制を整えることが、長期的なブランド防衛の鍵になります。
BQuireは、ブランドキーワードの自動監視から証拠保存、出稿元の連絡先調査、排除依頼の効率化、対応ステータスの管理まで、この問題の解決に必要な全工程をひとつのツールでカバーします。